リズミカルな歩様(Gaits)

馬の走り方は長さがきまった振り子のようでなければいけないと言われる。長さが決まった振り子は小さく振れても大きく振れても一定のリズムで振れる。このリズムは一定時間内での往復運動の回数で表現される。これが振動数で「ヘルツ」という単位を使う。この回数は1秒間で20回ならば20ヘルツというわけである。長さが決まった振り子は大きく振れても小さく振れても振動数は変わらない。馬も直線でもターンするときでもまた回転するときでもこの振動数を同じにするように乗るとよいと言われる訳である。一方馬の走る速度は振動数だけでなく、馬の歩幅(歩度)にもよる。歩度を詰めると振動数は同じでも速度は小さくなり、歩度を伸ばすと速度は速くなる。だから馬を回転させるときには振動数(リズム)はそのままで歩度を縮めて速度を落として回るわけである。
馬の走り方をみると綺麗な周期的な走りをしていることがわかる。だから馬の走り(歩様)にも振動数がある。この話は以前にも取り上げたが、振動数という観点で再度吟味したい。常歩(walk)は

④   ②

③   ①
番号は動かす四肢の順序である。4節でもとに戻る周期運動である。
速歩(trot)は

①   ②

②   ①
二節で元に戻る周期運動である。対角線上にある二肢が同時に動くので「斜対歩」という。
駈歩(canter)は、左右の対称性が崩れた歩様なので、右手前駈歩と左手前駈歩がある

②   ③

①   ②
右手前

③   ②

②   ①
左手前
三節でもとに戻る周期運動である。③のところで馬の四肢とも空中にある。
これらの馬の歩様(Gaits)は三つとも周期運動である。だから振動数は議論できる。
資料によると、馬の走りかたの振動数は
0.04ヘルツから2.08ヘルツ位の幅があり(制止は勿論0ヘルツ)、面白きことに、0.79ヘルツ(47回/分)で、常歩から速歩に移る。また1.81ヘルツ(109回/分)で速歩から駈歩に移る。