馬頭観音

馬頭観音は江戸時代には馬の守護神として流行するが、本来はこの逆で馬頭観音は馬を人の守護神として信仰したものだと思う。アジアでは古来からいろんな動物に不思議な力が宿っているとして、動物や動物を似せた像を信仰してきた。
古い例では、天平時代の有名な阿修羅に代表される八部衆の中に「五部浄」(ごぶじょう)という像がある。阿修羅と同じように少年の顔つきをしているが、頭部に象の冠をかぶっている。この「五部浄」以外の八部衆も殆どが何らかの形で動物と関連している。
馬頭観音もこのように、馬に何か神秘的な力を感じて信仰対象としたことを起源としているように思われる。江戸時代の流行は、この「馬」の字面から馬の守護神であると安易に転用したものであろう。
因みに、広辞苑によれば、馬頭観音は、「頭部に馬頭をいただいて憤怒の相をした変化観音。馬頭を直接頭とするものもある。…馬頭明王ともいい八大明王の一つ」とある。

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